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代表挨拶

1990年以降、日本経済は長く停滞し続けていました。しかし昨今、日本経済は失われた30年を乗り越え、2023年には物価上昇局面に突入。日本経済はデフレマインドからインフレマインドへと転換を見せ、景気は緩やかながらも回復傾向に向かっています。しかし、日本経済を形成する各種企業の業績は回復傾向にあるものの、物価・エネルギー価格・人件費などの上昇なども重なり、いずれも厳しい経営環境が続いています。グローバル経済の進展による国際競争の激化、世界的なエネルギー需要の高まりなど、我が国を取り巻く経済環境はより厳しさを増してきたというような背景がある中で、多摩川ホールディングスは、これからの日本にとって非常に重要な「再生可能エネルギー事業」と「電子・通信用機器事業」という2つのフィールドで事業を展開してまいりました。


資源に乏しい日本において安定したエネルギーの開発は長年の課題であり、「再生可能エネルギー事業」は、今後の地球環境を考えたときに避けては通れない分野です。
当社は太陽光、風力、水力の再生可能エネルギー事業に取り組んでおり、安定したキャッシュフローを生み出すことに成功、今日では経営活動を支える基盤事業へと育っています。その中でも小形風力発電所は、再生可能エネルギー事業における主要な分野のひとつであると言えます。当社はこれまでに累計約120基の小形風力発電所を開発してまいりました。これらの発電所はFIT制度に基づく長期固定価格での売電保証や投資家向けの販売等をしているほか、売電による安定した収益源として確保しています。FIT制度終了後は同制度に依存しない形での事業モデルの展開を目指しており、すでに500kW級の新たな風車の開発を検討するフェーズに入っております。さらなる持続可能なエネルギーへの貢献を目指すべく、今後も再生可能エネルギー事業の展望を広げてまいります。


一方「電子・通信用機器事業」では、アナログ高周波技術に基づく製品開発に特に力を入れ、独自の技術を築き上げ、信頼性の高い製品を提供しております。
国内有数のマイクロ波技術のエキスパート企業として、光伝送や信号処理を含む専門領域を展開してきた経験を活かし、今後はこれまで培ってきたアナログ高周波技術、光変換・伝送技術、デジタル制御・ソフトウェア技術をさらに強化し、需要増が見込まれる官公庁・公共インフラ市場におけるビジネス拡大を取り組むとともに、ドローン監視や6G、 および民間衛星といった、今後の成長が見込まれる分野での研究・開発を積極的に推進してまいります。また、海外子会社である多摩川電子ベトナムにおいては、従来高周波受動コンポーネントの生産が主力でしたが、近年ではインフラシェアリング装置を始めとして、より大規模な製品の量産も行うようになってきました。


現在、情報通信技術の拡充に伴うデータ社会への移行や脱炭素社会への取り組みを背景に、最先端技術を取り入れ量子暗号通信の開発を進めております。2030年には、現在インターネットに使用されている暗号の変更があります。これは、量子コンピュータの出現が想定されており、インターネット市場に大きな影響をもたらすとされております。そこでは、量子暗号通信の普及が大きく期待されており、量子インターネット網の実現も将来実現されると予想されております。当社では、「量子」を新たなキーワードに世界各国の大学、研究機関、そして、企業の皆様と連携を図り、SDGsをベースとした実用化に向けた取り組みをしております。


当社グループはCO2削減、地球温暖化への対策に対し、グループ全従業員と共に従来以上の熱量で向き合い、当社を取巻くステークホルダーの皆様に対しESG経営への積極的な情報開示及びSDGs目標達成に向けた意欲的な姿勢で取り組む所存です。

株式会社多摩川ホールディングス

代表取締役社長 桝沢 徹